こちらの記事では、イノベーションの促進によって組織の競争力を高めていく「イノベーションコーチング」の紹介を行っています。組織が抱えている課題にはどのようなものがあるのかという点に加えて、イノベーションコーチングの特徴や、コーチングを実施することによって期待できる効果などをまとめています。
「イノベーションコーチング」とは、コーチングによってイノベーション人材の思考や行動を引き出し、組織に変革をもたらすことを目的とした支援手法です。
企業の成長にはイノベーションが必要であるといわれています。「イノベーション」とは、モノや仕組み、サービス、組織、ビジネスモデルなどに対して新しい価値を探し、社会的に革新や刷新、変革をもたらすものです。そして「イノベーション人材」は、新しい価値やサービス、ビジネルモデルなどを創出するための、柔軟な発想力や行動力を兼ね備えた人材を指しています。
現在、少子高齢化やDX推進、働き方の多様化などさまざまな社会的な背景から、企業も変化が求められている状況となっています。そのためには、企業を変化させられる人材が必要となりますが、変化を実現するのがイノベーション人材であるといえます。企業にとっては、このイノベーション人材が競争力の源泉となり、持続的な成長や社会課題の解決に貢献するキーパーソンであるという点からも、イノベーション人材の育成が求められています。
組織における課題のひとつとして、「VUCA時代の変化に対応しきれない」という点が挙げられます。
「VUCA(ブーカ)」とは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉であり、変化が激しく先行きの見通しがしにくい状況を表しています。これは、元々軍事用語として使用されていたものですが、2010年代に変化が激しい世界情勢を表す言葉として、ビジネスでも使用されるようになりました。
VUCA時代の特徴としては、技術革新の速さや国際的な経済連携の影響が挙げられます。この点から、企業では競争環境の変化をスピーディーに捉えた上で柔軟に対応する必要が生じていますが、従来の組織作りのみでは変化に対応しきれないケースもあります。
また、企業によっては自律的な発想や創造性を引き出すことが難しくなっているケースもあります。
「自律」とは、外部からの指示や他者に左右されず、自分の考えや意志を持って選択や意思決定などを行うことを指します。しかし、例えば企業の中で「失敗は許されない」という空気があるために従業員がリスクを恐れていたり、現場のアイデアが経営層まで届かない・無視されてしまうといった文化がある場合などには、自律的な発想や創造性を引き出すことが難しくなります。このような環境では、従業員は自身の判断で行動することや新しいアイデアの提案をためらってしまうケースが多くなり、イノベーションが生まれにくい環境になってしまっているといえます。
経営層や管理職におけるビジョンの策定は、企業が目指す理想像を明らかにし、組織の方向性を定めるための重要なプロセスであるといえます。ビジョンをしっかりと掲げられれば、社員は共通した目標に向かって歩んでいき、継続した成長につながっていきます。
しかし、ビジョンの策定が行われない状況だったり、目標を達成するための支援が不足しているといった場合には、組織全体における方向性や目的意識が失われることで、社員のモチベーション低下や業績の停滞、人材の流出などさまざまな影響が起こってくると考えられます。
「ブレークスルー」とは、「破壊」や「打開」などを意味する「ブレイク(break)」と、「通り抜ける」「通過する」を意味する「スルー(through)」を組み合わせた言葉であり、「現状の課題や困難、障害を突破する」といった意味で使用されています。
イノベーションコーチングでは、経営者やリーダー層に対し、発想のブレークスルーを促していく問いかけを行っていくことが特徴のひとつといえます。また、ブレークスルーには「現状を突破する」という意味に加えて、「今ある考え方などに大きな変化を生み出す」という意味もあります。経営層やリーダー層の視点を刷新することによって、組織に変革をもたらすことを目指していきます。
コーチングを受けた場合、その場では強い納得感や意欲を感じ「やってみよう」と感じるはずです。しかし、コーチングが「受けて終わり」となると、成果につながりにくくなってしまいます。そのため、イノベーションコーチングでは、組織文化に対して「学び続ける思考と行動」を根付かせていきます。
イノベーションコーチングでは、チーム全体で創造性を引き出す仕組みづくりのサポートも行っていきます。社員の創造性を引き出しにくい職場としては、創造性を大袈裟に捉え過ぎていたり、それぞれの意見が尊重される環境になっていない、などのケースが考えられます。
「創造性」と聞くと、これまで誰も思いついたことがないアイデアや、大々的なものというイメージを持ちがちですが、日常生活でのちょっとしたひらめきやいつもと違った視点、新しい発想なども「創造」に該当します。そのためにも、「意見を言っても良いという空気感を作る」「日常的に社員が何かを発信する場を作る」「ひとつひとつのアイデアを大切に育てていく」といった取り組みを継続していくことによって、創造性が発揮されやすい環境や仕組みに繋げられます。
チーム内で創造性を引き出すための仕組みづくりを行うことによって、社員の潜在的な創造力が引き出され、新しい発想や提案を増やせるといった効果が期待できます。
例え小さなアイデアでもしっかりと耳を傾け、大切に育てていこうという空気があったり、アイデアや意見を発信する場を用意してお互いの考えを共有できれば、より良いアイデアへと発展しやすくなり、新たな価値を生み出すきっかけになる可能性もあります。
イノベーションコーチングにより、部門を超えた協働やコラボレーションが促進されるといった面もあります。異なる部門間での連携によって、ひとつの部門では解決できないような複雑な問題に取り組むことが可能になります。例えば、マーケティング部門と製品開発部門が連携すると、市場のニーズに合った新しい製品の開発に取り組むことができます。
ただし異なる部門間での連携を行う場合には、心理的安全性の確保が不可欠です。安心して自己表現を行える状況を作ることで、それぞれの部門に所属する社員同士が自分のアイデアや意見を恐れずに表現でき、部門間での建設的な議論を促進できるようになります。
このように、心理的安全性が高まることによって信頼関係を築けるため、互いに協力し合う文化を育てることにもつながっていきます。
イノベーションは、新しい製品やサービスを生み出すことだけではなく、既存のプロセスやビジネスモデルの改善や、既存のアイデア・技術を用いて価値を付加することも含まれます。このような点から、イノベーションは現代社会において、企業の競争力を維持するための鍵であるともいえます。
昨今、ビジネス環境は急速に変化し続けており、顧客のニーズや市場のトレンドも変わり続けています。そのような中で、従来の方法のみでは企業が生き残っていくことは難しくなっていく可能性があります。イノベーションコーチングを実施して新たな発想や提案が生まれる環境を作ることができれば、新規事業やイノベーションの加速につながることから、企業の成長スピードや競争力の向上が期待できます。
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こちらの記事では、イノベーションコーチングについて解説を行ってきました。
現在は、ビジネス環境が激しく変化し続けている状況であり、企業にはその変化に合わせた対応が求められています。イノベーションコーチングは組織と人材の潜在的創造力を高めるアプローチであり、経営層の視点の刷新や、チームの創造性発揮・成果の創出を後押しするサポートを行うことを目的としています。このような面から、イノベーションコーチングは、組織の未来を担う「自律×創造型」の文化形成に寄与する手段であるため、競争力を高めたい企業においてはぜひ注目しておきたいポイントであるといえるでしょう。
傾聴力・共感力・リーダーシップ力
行動科学・心理学に基づいたアプローチで、企業の管理職やチームリーダーが自身の行動や思考を深く見つめ直すプログラムを展開。
傾聴力・共感力・リーダーシップ力などが育つことで、社員の心理的安全性を高め、チームのエンゲージメントが向上します。
フィードバック力・対話力
実務に即した1on1支援と360度フィードバックなどにより、プレイヤー型の管理職が「人を育てる」マネジメントへ意識を転換。
OKR設計やピアセッションを通じて、対話力やフィードバック力“育成に必要なスキル”を実践の中で磨きます。
自己認識力・ビジョン構築
エゴグラム・360度サーベイ・AI対話分析を活用した1on1で、自己認識力とビジョン構築力を強化。
「どう見られているか」「何を大切にしているか」を問い直し、自らビジョンを語り、導くリーダーへの意識変革を支援します。